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歯周病


歯周病とは?

歯周病は自覚症状が無くても、確実に進んでいきます。これを進めないようにするためには、普段から歯ブラシをきちんとすることが大事です。

では、歯周病は歯がなくなるだけの病気なのでしょうか。いいえ。最近解ってきたことですが、全身的な病気と関係していることがあります。

※時間がない方は赤字だけ読んで下さい

歯周病の進行

step1
正常な歯肉です。歯ブラシが悪いと右側の歯肉のように腫れてきます。そうすると、食べカスがたまり歯垢がつきます。
step2
黒いところは、歯石といわれているところです。これは歯医者さんに取ってもらわないととれません。歯垢が石のように固まったもので、放置しておくと右側のように骨が溶けてきます。
step3
こうなってしまえば助けようがありません。ごくわずかに「再生療法」というのがありますが、この状態になってしまうと、歯を抜くしか方法が無くなります。

歯ブラシの重要性

歯ブラシはとても大事。専門家にきちんとした歯ブラシを教えてもらえば、写真1のようにひどい症状だったものが写真2のようにきれいに治ります。そのためには何が原因で今の現象が起こっているかをきちんと把握して、それを伝える専門医にかかる必要があります。

妊娠との関係

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産婦人科医に聞くまでもなく、一般に出産時2,500g以下の新生児は低体重児として乳児死亡の主な原因とされている。この低体重死出産と妊婦の歯周病との関係を調査した研究が、ここ数年米国を中心に広く注目を集めるようになってきた。とくにOffenbacherらの研究は、
歯周組織の細菌は、人体各部の細菌感染のメカニズムと同じように、子宮にも感染が成立するものとして、各方面から注目を集めるものとなった。彼の研究では、中等度や重度の歯周病に罹患した母体は、そうでない母体よりも低体重児を出産するリスクが7倍以上も高くなるというもので、

歯科だけでなく産婦人科医に対しても大きな刺激を与えた情報となった。彼の研究によれば、歯周病に罹患していなければ早産の8%が防げることになる。米国の場合を例にとれば、何と年間40,000件以上の早産が予防できることになるという。

バイオフィルムに存在する歯周病原性細菌や細菌の産生物は身体の各部に運ばれるが、子宮においては宿主を刺激し、IL-1やプロスタグランディンE2といった起炎物質の産生を促し、胎盤を棚宿させることを示唆した研究もある。Offenbacherの研究では、アタッチメント・ロスが3mm以上あるような

歯周病罹患歯が一口腔内に6割以上もある妊婦の場合、他の要素、たとえばアルコールや喫煙などのマイナス要因を補正しても、低体重児が生まれる確率は有意に高くなるというものであった。
この研究はまだ始まったばかりであるが、全米を震憾させるものであったばかりでなく、いま歯周病研究者と産婦人科医の共同研究が各地で行われ始めたところである。米国においては、歯周疾患の予防で早産を防ぐことによって、年間1O億ドル(約1,000億円)の医療費削減に繋がるという報告もある。

–Dr.Newman

心臓病との関係

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歯周病(歯槽膿漏)が心臓病や心筋梗塞の重要なリスクファクターであることについては、すでに疫学的データがいくつも発表されている。心臓血管および脳血管障害は多因子によって疾患を発症するものであるが、多因子間の統計解析結果から、歯周病がこれらの疾患の発症頻度に有意に関係していることが明らかになりつつある。とくに、DeStefanoらの研究では14年間に9,760名を調査したが、歯周病に罹患したグループは、そうでないグループよりも25%も心臓病のリスクが高いことを明らかにしている。また、Beckらは1147名の男性について調査した結果、


骨吸収のスコアが高いグループでは、そうでないグループよりも50%も心臓病に罹患するリスクが高くなったという。また、項目によっては歯周病でないグループよりも3倍近いハイリスクの値を示したという。

一方、このようなことが起こるのは、バイオフィルムやポケットを介して引き起こされる菌血症が、いわゆるアテローム動脈硬化や血管閉塞の発生に何がしかのかかわりをもっているからというのが、現在考えられている理由である。

つまり、

歯周病原性細菌などによって引き起こされる炎症が、心臓の血管壁を損傷するひとつの要因になってるのではないかと推測されている。

ここでの歯周病原性細菌は、いわゆる菌血症の場合の経路を経て心臓内血管に運ばれるものと理解されている。また、ここでの細菌や他の起炎要素に対する患者自身の応答は、遺伝環境が複雑にからみあっているものと考えられる。心臓疾患は、いまや先進国の死亡率の上位に位置する疾患である。

したがって、歯科医師が担当する歯周病の予防と治療は、この人類が直面している疾患に対して何ができるかをまず考えなくてはいけない。

米国では一般の情報誌が「F1oss or Die」という見出しをつけて紹介している状況にある。

–Dr.Newman

糖尿病との関係

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糖尿病と歯周疾患との関係を調べた研究は多い一とくに、糖尿病が歯周疾患にどう影響を与えるかについての研究が、約半世紀にわたって注目されてきた。とくに1960年代からは、糖尿病をコントロールするために歯周病をどう理解するかという方向の研究がなされるようになってきた、最近では、逆に歯周病が糖尿病にどう影響しているかについての研究もなされている。たとえばGrossiらの研究では、歯周治療を行った患者は短期間に糖化ヘモグロビン値を減少させ、糖尿病の病状を良化させたしとている。現在、歯周病原性細菌による炎症などを治療、予防することは、糖尿病の合併症に強くかくかかわる最終糖化産物の形成と蓄積の予防を妨げる働きをするするという仮説が導き出され、これを証明すべくいくつかの実験、調査研究がなされつつある状況である。

いずれにしても、
歯周疾患というものが糖尿病のひとつの合併症であることは、かなり広く認識されている。そして、歯周病に感染することは、糖尿病のレベルを悪化させ、これが逆に歯周病の感染のコントロールや創傷治癒を妨げることにつながるという双方向の影響の視点も、現在では議論されるようになってきた。

糖尿病は、米国に限らず現代社会の主要な成人病ということができるが、この疾患のために費やされる医療費、医療保険は莫大な額にのぼっている。この疾患が歯周病の治療で予防、またはコントロールできるとしたら、社会経済的な効果は大きなものにならざるをえないであろう一いま、歯科治療はそこに大きく貢献しようとしている時代といえる。

–Dr.Newman

肺疾患との関係

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肺炎は、依然として直接の死因の上位を占めている疾患である。その原因として、口腔内の細菌、とくに歯周病にかかわる細菌の働きを述べる研究、論文が多く登場して、米国のみならず日本でも大きな話題となっている。とくに、近年における肺炎の患者、院内感染の増加が、事態の深刻さを社会にアピールすることになった。

以前から、口腔は肺炎の潜在的感染源ではないかという議論はあった。近年、Scannapiecoらは、病院で治療を受けている患者の頗粘膜に存在する細菌や縁上プラークの細菌叢を調べた結果、呼吸器感染にかかわる細菌の存在が、入院患者に有意に多い事実を発見した。何と65%の入院患者から、呼吸器疾患にみられるSaureusとPaeruginosaが検出されたという。歯周病にかかわっているとされる細菌の多くが、呼吸器疾患の発症に大きくかかわっていることが予想される。Actinomyces, Bacteriodes, Capnocytoghaga, Fudobscterium, Peptostreptococcud, Pgingivslid, Prevotells, Veillonella など、入院患者のいずれからも観察されたということから、
口腔内の細菌は呼吸器、とくに肺における感染のリスクを有意に高めていることが明らかになりつつある。
このことから、口腔内細菌をコントロールすることが極めて緊急に必要であることが叫ばれるようになった。日常臨床で高齢者、有病者に対して、歯周病の診断、治療、予防処置を行うことは、呼吸器疾患の予防のみならず、治療との関係においても大変重要であることが、改めて話題にされつつある状況である。

日本では、高齢者の治療とケアが社会的に大きな話題になっていると聞くが、誤嚥性肺炎が歯周病原性細菌との関係で発症するというデータも出ている
ようなので、とくに関係がある話題ということができよう。

–Dr.Newman