お知らせ・クリニックブログ
歯肉の黒ずみ
17.06.06
ウエストデンタルは安心、安全、納得の歯科。渋谷駅徒歩1分の歯医者さんへ!
歯茎が黒ずむ理由は二つあります。一つはタバコなどの刺激に対してメラニンが沈着してしまうことにより黒ずんでしまう。二つ目は、歯に使用した補綴物の金属イオンが湧出して歯茎に刺青を施した形で黒ずむものとに分けられます。
最初に挙げたメラニン色素の沈着は、日光等を浴びすぎでできるシミやそばかすといったものと同じ反応です。
メラニン沈着が白人より多い有色人種では、歯肉、口唇、口蓋、頬粘膜に生理的にメラニンが沈着することがしばしばおこります。また加齢とともに粘膜でも皮膚と同様に色素沈着の傾向は強まります。
ここで大事なポイントとして勝手に自己判断をしてメラニン色素の沈着だと思ってしまい放置することが最も危険なことになります。ごく稀ではありますが、悪性黒色腫という病気の場合があります。まずは気になる物があれば専門医(口腔外科学会の認定医を持った先生)に見てもらうようにしましょう。また、口の中にできる母斑(ほくろ)も鑑別しなければなりません。ただ母斑は良性のものですから心配はないのですが、我々専門医の間ではお口の中と足の裏にある母斑は取ったほうがいいという考えをもっている先生が多いことも知っておいてください。なぜなら前出の悪性黒色腫へ変化することを経験するからです。
だいぶ本題から外れてしまったので再度黒ずみについてお話しします。
このメラニン色素は審美的に障害があれば除去することをお勧めします。これは意外と簡単な方法で除去できます。切除、ドライアイス、トリクロール醋酸、フェノールアルコールによる脱色を行えば除去することができます。当院ではフェノールアルコールによって行っておりますが、値段は3千円ととてもリーズナブルな価格になります。
さて、色素沈着は本来刺激や加齢によっても起こるのですが、別の疾患の一つの症状として出てくることもあります。
どんなものがあるかと言いますと。
アジソン病
副腎皮質の慢性機能不全により皮膚、粘膜の色素沈着をきたす希な疾患です。原病の治療と、副腎皮質ホルモン製剤等の投与とともに、栄養の改善を図ります。必要があれば切除します。
アルブライト症候群
レックリングハウゼン病
全身の皮膚にミルクコーヒー色の特有な色素性母斑が多発し、全身に多発性の神経腺維腫がみられる疾患です。
口腔粘膜には通常色素斑はみられず、神経線維腫としてみられます。口蓋、舌、歯肉、口唇、頬粘膜などで、無痛性のやわらかい腫瘤としてみられます。口腔内については腫瘤は小さいと放置してもよいですが、障害があるものは切除します。
ポイツ-ジェガース症候群
手、足、口腔粘膜の多発性色素斑と、胃腸にポリープを生じるまれな優性遺伝性疾患です。口唇の色素斑は放置してもよいが、審美的要求の強いときには脱色します。
など。
こういったものがあります。
色々知っていると、やはり専門医にちゃんと見てもらうべきだなとわかっていただけるかと思います。
さて、二番目に挙げた金属による色素沈着ですが、過去に薬剤として投与された亜鉛、水銀、た職業性に慢性に接触して吸収された鉛、水銀、銀などが歯肉など慢性炎症のある部位にとりこまれ、着色したものです。
これは補綴物を入れている歯の周辺歯肉が黒い縁取りのようになっているのを見たことがあるのではないでしょうか。これは歯科の金属には亜鉛や銀といったものが合金として含まれているために起こります。また、神経などを抜いた後に金属の土台を立てるのですが、この金属の土台に銀がかなり多く含まれています。
そういったものによっておこったものは、単に黒ずみを除去するだけでなく土台などをグラスファイバーの土台などに変えないと根本的な治療にならないことを知っておいてください。
また、かぶせ物は金属を使わないセラミックなどのかぶせ物にすることも忘れないようにしましょう。
審美治療の関連記事